2015年4月8日水曜日

デービッド・アトキンソン(David Atkinson)

デービッド・マーク・アトキンソン(David Atkinson)

1965年生まれのイギリス人で,元証券アナリスト.現在,小西美術工藝社の代表取締役社長.この会社は江戸時代からの老舗企業で,日本全国の寺社などの建築や文化財の保存修理,新規調製,復元を行っている.


デービッド・アトキンソンは,アンダーセンコンサルティング、ソロモン・ブラザーズを経て、1992年にゴールドマン・サックス入社.98年に同社取締役,06年に共同出資者(パートナー)となった.日本の不良債権の実態を暴くレポートを発表し,専門家の間で注目を集め,日本の金融ビッグバンに影響を与えたとされる.一方,オックスフォードで日本学を専攻し,99年に裏千家に入門,06年には茶名「宗真」を拝受するなど,日本の伝統文化への理解があり,その体現者でもある

 1985年に外国人留学生として初来日.ソロモンでトム・ハンリーに分析法を学び日本の銀行のアナリストとして再来日
が『銀行の不良債権』というレポートで不良債権が20兆円(実際は100兆円だったとも)に上ると公表した時,銀行株の売りが殺到し,銀行幹部から「ふざけるな数兆円程度と訂正しろ.」と怒鳴られ,脅迫を受けた.
 07年にゴールドマン社を退社した.その理由は触れられていないが,十分稼いだ後の早期引退なのだろう.
 09年に軽井沢の別荘が隣だった小西美奈から引退するのは早過ぎると言われ,小西美術工藝社に入社.日本の伝統文化を守りつつ.旧習の縮図である伝統文化財をめぐる行政や業界の改革への提言を続け,時代の動向に沿った施工を可能とするべく,新しい考え方,テクノロジーを積極的に取り入れているそうである.

イギリス人アナリスト 日本の国宝を守る』は,国宝を守る外国人の自伝ではなく.
日本は「技術大国ではない.」,「戦後の復興は奇跡ではない.」といったことを「GDPは人口に比例する.」といったことを引き合いに出しアナリストらしく分析している.経営者にはサイエンスがないとか欧米的合理主義とかで片付け良いのか

 同時に,自身の経験をもとに観光立国への提言を行っている.私はこれまで,観光促進言い出したまちは終わっていると思っていた.そんな都市はたいてい他の産業の見込みがなくなって,苦し紛れに地域振興を観光促進名目に使っているのだ.いまでもその考えは核心をついていると思う.

京都は観光客が少ないなど

国産漆の話もおもしろい
昔『プロジェクトX』の金閣寺の回で厚みのある金箔を貼るには岩手県二戸市の浄法寺漆を用いなければならないと,やっていたが,当時でさえも金閣寺に中国産の漆でも使おうとしていたのだろうかと勘ぐる



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